会の概要

昭和中期の小原集落
かつて高時川源流域にあった小原集落

 当会は、高時川源流の豊かな自然に育まれてきた文化と豊かな自然を次の世代に継承したいという想いを実現するために設立されました。

 

 高時川源流域では、トチノキの巨木やブナの森が残されてきました。そのような豊かな自然と共生する山村文化が息づいており、高時川源流域の人々は、それぞれでこの文化や技術の継承活動を行っていました。

 

 しかし、高齢化により森林の保全・管理が困難になるとともに、文化の継承が急務となりました。

 

 そこで、トチノキ等の巨木を多く含む、ブナを中心とした広葉樹林を保全し、高時川源流域独特の貴重な文化を生きた形で継承することを目的として、高時川源流域出身者が中心となって「高時川源流の森と文化を継承する会」は平成25年6月に設立されました。 

 

高時川源流域について

滋賀県長浜市余呉町の大半を占める
高時川源流域の位置

  高時川源流域は滋賀県の北部に位置し、琵琶湖・淀川流域の最源流です。

 

 高時川源流域を含む滋賀県長浜市余呉町は、関西以西で唯一、特別豪雪地帯に指定されており、冬期の積雪量が5 mを超えることもあります。そのため、多雪に適応したチャボガヤやユキバタツバキ等の日本海型の植物も生育しています。

 

 かつて、高時川源流域には小原や奥川並等の集落が多くありました。そこでは、豊かな自然に抱かれ、1000年以上の歴史と伝統ある文化が育まれてきました。

 

 

高時川源流域の森と文化

 高時川源流域は東北地方から連続するブナ林の分布の西南端であり、ブナを中心とした落葉広葉樹林が滋賀県内最大規模で拡がっています。また、西日本でも指折りの規模のトチノキ巨木林も見つかっています。

 

 当会では、豊かな自然環境を残していくためにトチノキの巨木林の保全活動を行っています。奥深い急峻な森林を踏査し、胸高直径約1 m以上の巨木を1本1本計測し、保存木表示看板を設置しています。

 

 水源の自然環境の保全だけでなく、この自然から得られる恩恵によって育まれてきた文化を継承することも、豊かな自然環境を残すために重要です。

 

 高時川源流域には、広葉樹を暮らしに活用する文化が残っており、これは北陸や美濃からの流れを汲む文化で、西日本のタケを主体とした文化とは一線を画します。例として、小原かごが挙げられます。日本でかごの材料として最も多いのはタケですが、小原かごはイタヤカエデという木本植物を材料としています。イタヤカエデの材は強靭で、小原かごはその特性を熟知した先人たちの知恵が表れているといえます。